昨年末、史上最高齢77歳でNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、短髪に黒い衣装、ピンスポットのみという演出にも関わらず圧倒的な存在感を放った
美輪明宏の初のオリジナル・アルバムでもある本作には、2012年の紅白歌合戦で歌われた「ヨイトマケの唄」も収録されており、カバー曲である「妾(わたし)のジゴロ」以外の全ての作詞・作曲を美輪自身が手がけている。
「ヨイトマケの唄」は、炭坑町の劇場でコンサートを行った美輪が客席を埋め尽くす労働者を見て、彼らの為の歌を作ろうと決意し制作されたが、歌詞に差別用語が含まれているという理由から、90年代後半まで公共の電波で放送されることはほとんどなかった。日雇い労働者の母を持っていたため、幼少期にいじめを受けたという美輪自身の経験も元になっているそうだ。「ヨイトマケ」とは、日雇い労働者を指し、建築機器が無い時代に地固めをする為に日雇い労働者が滑車を綱で「ヨイッと巻け」とかけ声を発して引っ張っていた事に由来している。
原発反対を歌ったRCサクセションの「サマータイム・ブルース」も、時を超えても変わらないメッセージを発し続ける作品として近年注目されたが、美輪明宏のこの作品も、時代を越えてあなたの心を揺さぶるメッセージを含んでいるかもしれない。
男と女、生と死、戦争など、人が生きていく間に経験する様々な感情を生々しく楽曲に閉じ込め、発売から30年たった今でも力強く、人々の心をえぐる彼の伝説的な作品を、今こそ体感してほしい。(櫻井希)
・OTOTOY販売ページ
http://ototoy.jp/_/default/ p/33309
・美輪明宏 HP
http://www.o-miwa.co.jp/