2014年3月1日(土)、新宿LOFTにて、水曜日のカンパネラ主催のイベント〈オトトイの地下室〉が開催された。
昨年11月に行なわれた自主企画イベント〈りんご飴音楽祭〉では、大森靖子、AZUMA HITOMI、Charisma.comといった、女性アーティスト中心のラインナップで大成功を収めたが、今回はオーバー30の男性出演陣が中心。さらに、音楽だけでなく、鹿の解体ショー、落語、活弁、演芸、漫読という、多ジャンルの出演者たちが共演し、イベント名さながら、じめじめした“地下室”を作り上げた。結果的に、トータル5時間という長丁場、250人を越えるお客さんが集い、異様な空間を生み出すこととなった。
一番手として出演したのは、主催者でもある水曜日のカンパネラ。「(この日を)待ってました!! このあと私もお客さんに混じって後ぐされなく楽しみたいんです。だから、がんばっていきたいと思います。よろしく!! いくぞー!!」というヴォーカル、コムアイの一声とともに、キン肉マンのキャラクターたちをラップにした「二階堂マリ」を披露。この日届いたばかりの王様風の新衣装で思う存分ステージ上を跳ね回る。間髪いれずに、サラリーマンのお疲れ讃歌「ランボー」をライヴ初披露。同曲でモチーフになっているメガシャキでイベントの成功を祈り乾杯し、定番曲である「お七」、バスケットお菓子を客席に投げて度肝を抜いた「マリー・アントワネット」、コムアイが一番思い入れのある園子温の『恋の罪』をモチーフにした楽曲「ミツコ」を披露し、ステージは終了した。
それと入れ替わるように、BARステージでは、ぼく脳の演芸が行なわれた。フリップに書かれた絵をシュールな感性で言葉にしていき、そこだけ価値観が歪んだかのような異空間へ。メインステージでは、いま東京で一番おもしろいだけのバンド、NATURE DANGER GANGが登場。客席にメンバーが飛び込みモッシュピットができ、最終的には全裸姿になって大合唱、ハッピーな動物的バイブスが生まれる。再び、BARステージには、東方力丸が登場し漫談を披露。途中で弟子でもあるコムアイが参加し、二人で男色の成人コミックを漫読。会場からは真剣なセリフまわしと絵のギャップに笑いが起こる。
続いてメインステージで行なわれたのは、コムアイの趣味でもある鹿の解体。前回の自主企画イベントと同様、ステージにしかれたビニールシートの上で、解体の師匠である佐野氏とともに、皮を剥がすところから丁寧に説明しながら解体を実践。その後、SPA副編集長の織田氏を迎え、トークショーが実施された。山梨が大雪にみまわれたためギリギリまで鹿が捕まらなかったことから、鹿の解体をショーとして見せることについてまで、昨年から鹿の解体について綿密な取材を続ける織田氏ならではの視点のトークショーとなった。
鹿肉料理を食べるためのお食事タイムをはさみ、BARステージで行なわれたのは、瀧川鯉八による落語。夫婦の家に、失礼な嫁の弟が家にやってくることを話題にした噺を絶妙な間合いで披露。変わってメインステージでは、下ネタのナポレオンこと、クリトリック・リスが登場。黒パンツ一丁で、笑えるような歌詞を吐き出すのに、どこか泣きそうになる人間の機微を描いたパフォーマンスで客席を熱くさせる。再び入れ替わって、BARステージでは、山田広野による活弁が行なわれた。自信が制作した映像にあわせ、リアルタイムでアテレコ。一寸法師をテーマにしたものや、ショートフィルムを上映しながら、下ネタやコミカルなネタで爆笑の渦に包まれた。
そして、このイベントの大トリとして登場したのは、向井秀徳アコースティック&エレクトリック。向井は、コムアイが昔からのファンだったという憧れの存在。ナンバーガール期の楽曲などを惜しみなく披露。イベントをビシット締める弾き語りで、お客さんたちの視線を一気に集めた。そして、5時間近いイベントを締めくくるようにアンコールを歌いきり〈オトトイの地下室〉はその幕を閉じた。
コムアイは、このイベントを企画した理由を、最初のステージでこう述べた。
「そもそもなんでこのイベントを企画したかっていうと、今日出ている人たちはみんな、わたしが男だったら、ああなっていきたいっていう、それぞれが家元みたいなお兄さんたちなんですよ」。
表現方法は違えど、それぞれのスタイルで確立させた独自の芸を、出演者たちはプライドを持って示した。そのなかでは新参者ともいえる水曜日のカンパネラも、自分の強みを模索しながら、ライヴ、鹿の解体、漫読など、さまざまな面を見せながら、自分たちの世界観を見せつけた。前回の自主企画イベントでは、自身のライヴでバテてしまったこともあったが、それを乗り越え、成長の跡がはっきりと見えるパフォーマンスを見せた。
3月19日には、3rdアルバム『シネマジャック』の発売、そしてレコ発となるイベント〈水曜日の視聴覚室〉を、オオルタイチとともに渋谷WWWで1000円という破格の価格で行う。〈オトトイの地下室〉で見せつけたパフォーマンスとエネルギーが、一極集中で爆発する一日となること間違いない。当日まで指折り数えて楽しみに待とう。
さらに、〈オトトイの地下室〉の後夜祭も3月28日に行なわれることも発表。出演者などはいまのところ未定だが、3月1日の熱気を再体験できる夜になること間違いない。イベントに来た人も来れなかった人も、再び濃くじめじめした地下室の世界をのぞいてみてはいかがだろう。水曜日のカンパネラの動きから、ますます目が離せない。(ねるねるね〜るね西澤)
〈水曜日のカンパネラpresents オトトイの地下室〉
2014年3月1日(土)新宿LOFT
出演:
【音楽】クリトリック・リス、水曜日のカンパネラ、NATURE DANGER GANG、向井秀徳アコースティック&エレクトリック ※50音順
【解体】鹿
【活弁】山田広野
【演芸】ぼく脳
【漫読】東方力丸
【落語】瀧川鯉八
〈水曜日の視聴覚室〉
2014年3月19日(水)渋谷WWW
時間 : OPEN 19:00 / START 19:30
料金 : 前売¥1,000- / 当日¥1,500- ドリンク代別途
出演 : オオルタイチ×VJスフィンクス、水曜日のカンパネラ×VJ中山晃子
〈チケットに関して〉
・手売先行 → 水曜日のカンパネラのライブ会場にて1月29日より販売
・一般発売 → 2月12日より下記にて販売
・チケットぴあ Pコード : 223-481
電話予約:0570-02-9999
・ローソンチケット Lコード : 70045 ※電話予約なし
・e+ http://eplus.jp/
〈水曜日のカンパネラpresents「オトトイの地下室」後夜祭!〉
2014年3月28日(金)阿佐ヶ谷ロフトA
・http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/ 22160
水曜日のカンパネラ / シネマジャック
発売日 : 2014年3月19日(水) ※OTOTOYでは2月26日より先行配信
http://ototoy.jp/feature/2014022605
価 格 : ¥1,389- +(税)
品 番 : TRNW-0050
取扱い : タワーレコード店舗 & ヴィレッジヴァンガード店
収録曲 :
1. ミツコ
2. 二階堂マリ
3. 義経
4. モスラ
5. ラオウ
6. ダ・ヴィンチ
7. ニキータ
8. ランボー
・水曜日のカンパネラ HP : http://www.wed-camp.com/
・水曜日のカンパネラ Twitter : http://twitter.com/wed_camp
・OTOTOY 特集ページ : http://ototoy.jp/feature/2014022605