まずは、渋谷WWWに向かい、リスト・バンドの交換をする。今回のイベントはチケットとリスト・バンドを事前に交換でき、こういったイベントにありがちな交換待ちの行列も発生していなくて、とてもスムーズ。おお、快適。生憎の雨だが、各会場はとても近い距離にあるため、さほど影響はない。
次は
しばし休憩を取り、次は
よしむらひらくの余韻を味わって、
イベントも終盤に差し掛かってきた。次は今回のブッキングの中でもひときわ異彩を放っている、クリトリック・リスを観に向かう。いつものスタイルである光るパンツ一丁で平然と登場し、屋根裏が一気に変態ワールドに! 笑いすぎてお腹が痛くなったのは久しぶり。途中ステージを降りて、汗だくの体でフロアの女の子に抱き着いたり、THE ラブ人間の金田を巻き込んだりと、やりたい放題! しかし笑いだけではなく、切なさやちょっぴりの感動も内包する、色々な意味で衝撃的なステージであった。
渋谷wwwに向かうと、丁度
イベントも終わりが近づく中、忘れらんねえよを観に屋根裏へ。元々彼らは別のステージに立つ予定だったらしいのだが、強い希望でこの場所に変えてもらったそう。というのも彼らは渋谷屋根裏の出身バンドであり、屋根裏は今年の6月1日をもって営業終了予定となっているからだ。これがおそらく彼らの屋根裏での最後のライヴであり、柴田隆浩(Vo&Gt)は振り絞るように屋根裏への思いを語る。そしてそのまま「この高鳴りをなんと呼ぶ」を演奏し、お客さんの中には感極まって泣いている人もいる。屋根裏への恩返しのように最大限の熱量で演奏し、しっかりとお客さんの記憶に刻み込まれたライヴであった。
トリはもちろん、オワリカラだ。WWWは満員のお客さんで埋め尽くされ、今か今かと最後のバンドを待ち受けている。そんな中メンバーは何事も無いように普通に登場し、まずはアッパーな「おいでシスター」でぶちかます! オワリカラのメンバーはそれぞれが超個性的なプレイヤーなのだが、完璧にひとつにまとまっていて見事なグルーヴを完成させている。新曲も披露し新たなバンドの可能性も見せつけつつ、猛スピードで駆け抜ける流石のステージだった。
最初にこのイベントのタイム・テーブルを見た時、正直、批判的な考えを抱いていた。ガチンコ勝負というなら、最後のオワリカラと同時刻に他のバンドをぶつけるべきだし、主催バンドといえどこの一人勝ちの仕方はないだろうと。しかしこのイベントを通して体験して、その考えはかき消された。オワリカラのメンバーは自ら働き、どのバンドのライヴにも積極的に足を運んでいた。どのバンドもステージで自然にオワリカラへの感謝を述べ、全力で最高のライヴをしていた。オワリカラもそれまでの全力のライヴをすべて受け止め、期待に応える完璧なステージを演じてみせた。出演バンドとの絶対的な信頼関係があるからこそ成り立つことであり、イベントが終了してもオワリカラの一人勝ち感は全く感じられなかった。考え込まれたタイム・テーブルと各会場に配置されたボランティア・スタッフの誘導によって、筆者が回っている限りでは一度も入場規制はかからなかったし、不便さも感じなかった。何よりイベント終了後のお客さんの顔が、このイベントの成功を物語っていた。(岩瀬知菜美)
<オワリカラpresentsスペイン坂ロックフェスティバル~渋谷モンパルナス~>
2013年4月20日(土)@渋谷www、渋谷屋根裏、渋谷CYCLONE、WastedTime
出演 : オワリカラ、THE ラブ人間、Wienners、キュウソネコカミ、tricot、東京カランコロン、科楽特奏隊、蜜、mothercoat、雨先案内人、クリトリック・リス、忘れらんねえよ、がくたく、うみのて、POCALIS、Droog、黒猫チェルシー、THE★米騒動、うしおだつだ、佐藤千明(赤い公園)、よしむらひらく、あがた森魚、ゆーきゃん