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現在進行形のジャズ・シーンを紹介するムック登場

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監修:柳樂光隆(ジャズ評論家)
『JAZZ The New Chapter ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平』
(シンコーミュージック刊)

懐古ではない、現在進行系のジャズを巡るガイド本『JAZZ The New Chapter ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平』がこのたび刊行された。

ジャズ本と言えば、やはりどうしてもマイルスやコルトレーンといった20世紀の偉大なアーティストや名盤たちを、どのような切り口で紹介するのか? どうしてもそうしたコンセプトに終始してしましがち。しかし、本著は2010年代以降、つまるところここ数年のアーティスト、シーンの紹介がその主題となっている。それは副題にあるように、ロバート・グラスパーが自身のバンド、エクスペリメントを率いて2012年にリリースした『Black Radio』をひとつ、座標の中心点とすることで描かれている。バンドのメンバーにはじまり、そこに直接的に多大な影響を与えたJ・ディラやQティップといったヒップホップのトラックメイカー、または同時代のホセ・ジェームスといったアーティトたちや、ロバート・グラスパー以降と言えるジャズ・アーティストたちを紹介することで、現在の“ジャズ”の地図を描いている。なんとなくだが、それはポスト・ヒップホップ/クラブ・ジャズ世代の“ジャズ”と言い換えることができるかもしれない。
本著では、上記のようにロバート・グラスパー・エクスペリメントのアーティストたちとその作品たちを紹介しつつ、本著が描く”地図”上に点在するアーティストたち、そして100枚以上のディスク・ガイド、そしてさまざまな切り口で現在のジャズ・シーンを示すコラムなどで構成されているため、流れやカルチャーも捉えることもできる。読み物として、そしていわゆるガイド本としての資料性もすばらしいバランスのとれた内容となっている。
(河村)


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