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完全にノンフィクション、活動休止前の大阪ワンマンを現地レポートーー大阪便り

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今回は、11月30日大阪福島2ndLINEで開催された〈ONE MAN GIG“The endless of 完全にノンフィクション〉をお届けする。

東阪のワンマン・ライヴを最後に、活動休止となる彼ら。だが、オフィシャルHPに完全にノンフィクション(以下、完ノン)の首謀者、別所秀和によって記載されているように“そこに悲壮感は、ない”のだ。

会場が暗転し、お馴染みのSE に乗せてゆっくりとメンバーが登場。別所はいつも通りウルトラマンのお面を被っており、面をすっと外したところで、ライヴの始まりを示すがごとく、ギターのハウリング音が鳴り響く。高らかにギターを掲げ、「開幕戦」のギター・リフを鳴らす。会場から沸き上る歓声、それを凌駕するソリッドなギターで、開始数分でフロアは彼らが掌握した。「完全にノンフィクション」と一言だけ早口に名乗り、再び轟音が鳴らされ「2/3ノンフィクション」へ。音源での収録内容と完全一致であるあたり、彼ららしい。派手なパフォーマンスこそないが、着実にフロアは熱気を帯びていく。

MCでは、メンバーの愛称を叫ぶ声にも笑いながら応える姿にあるように、演奏とは裏腹に笑顔も垣間見られるあたたかな光景がみられた。そして、その空気感を一瞬にしてリセットするように孤高に鳴り響くギターの音とともに「28℃」へ。彼らが楽曲に描き出すどこか懐かしさを覚えるような感傷的な感覚を十分に感じさせ、目を閉じれば雑踏から隔離された何もない空間が広がっていくようだ。静寂を切り裂くのは「そう」のお馴染みのリフ。心地良く跳ねる独特のリズムがその中毒性を発揮し、フロアを揺らす。

「完ノンの歴史は長いんです、尖っていた曲たちを」とMCを挟み、デモ音源時代の作品を含め初期時代の楽曲たちが演奏された。本人が語るように誰でも楽しく体を委ねられるような楽曲というよりは、一癖もったものばかり。「南海電車」では、高速のドラムに、リバーブのきつくかかかった幻想空間のなか早口でまくしたてるようにどこかの町の夕暮れを描き出す。続く「アイスキャンデー」では、目まぐるしく曲展開が変わる中、互いに視線を合わさずともキメを合わせてくるバンド力の高さを魅せた。「2005年感覚」では、盛り上がった別所がフロアにマイクを任せる場面が見られた。

彼らの楽曲で一貫して表現されるのは、どこかノスタルジックで感傷的な楽曲世界だ。彼らの活動拠点であり、楽曲世界の多くの舞台となる大阪という街自体、東京に次ぐ大都市であっても、代表的なシンボル通天閣が示すように、洗練された都市としての側面より、どこか雑多で庶民じみた側面をみせる。都会から外れたどこかの街で日々の憂鬱を憂う感覚を完ノンの曲たちがオーディエンスにもたらしていく。この日のライヴでは照明に派手でカラフルな色使いがされることはほとんどなく、最もシンプルな白照明やオレンジがかった照明がほとんどで、彼らの楽曲世界を十分に表現していた。

そして、彼らが本編ラストにもってきたのは「DRUNK NEWCITY」。ライヴ開始の時と同様に高らかにギターを掲げ、轟音が鳴る中「ラスト!」と別所が叫び、演奏スタート。いつも以上の速度でフロアも熱を帯びていく。メンバーもお客さんも自分のフィールドで思い思いに踊っていた。これから休止期間に突入するわけだが、やるせない思いに満ちたあの夕暮れ世界を表現できるのは彼らだけなのだ。空いた椅子には自ら戻ってくることを願う。(佐藤ワカナ)

2013年11月30日(土)大阪福島2ndLINE
〈ONE MAN GIG“The endless of 完全にノンフィクション〉

・オフィシャルHP
http://www.kznf.net/


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